Close
  1. 膨大な国の借金(国債)返済のカラクリとハイパーインフレ!
  2. ライフプランで見えた興味ある記事ランキング!
  3. 平成31年度の公的年金(老齢基礎年金)とマクロ経済スライドの仕組み!
  4. 年金生活者の市県民税(住民税)が過大請求されている恐れあり、申告で取り…
  5. 信用創造がもたらす債券や株式などの金融商品のバブル崩壊と仕組み!
  6. 60歳から65歳未満の繰り上げ支給の厚生年金(公務員の旧退職共済年金)…
  7. 外壁塗装やシロアリ対策などの住宅のメンテナンス(維持管理費)と点検時期…
  8. 離婚時の年金分割(3号分割・合意分割)の概要とシミュレーション!
  9. 日経平均株価とNYダウの暴落と債券(国債)利回りの低下と景気後退のシグ…
  10. 生命保険に入る前にちょっと待った!必要保障額をシミュレーション(エクセ…
Close

LIFE “ちえい蔵“

水道事業の民営化による事業未執行は水道料金に換算して公開すべき!

水道事業の民営化の失敗事例が多い中で、宮城県知事は、コンセッション方式による「みやぎ型管理運営方式」(宮城方式)に大きく舵を切ったことで、その影響は他の自治体の民営化への足掛かりができたことになる。
これまで水メジャーも地元企業との提携で水道料金の業務委託程度に収まっていたものが、企業運営への参入条件の障壁が無くなったことで国内企業との提携が加速化してくると思われる。国内の水企業は海外でも水事業の運営管理の知見や実績がなく、価格競争の面でも立ち行かないため海外市場の占有率が0.2%に止まっていたが、今後は国内市場にシフトする企業も多くなるだろう。法改正による民営化が可能になったことで、足元は利益優先の水道料金の大幅な値上げにつながる恐れがあり、また、県民への責任説明を恐れて役所的な手法で民営化の赤字を補填する危険性もはらんでいる。宮城方式が国内第一号でもいいが、まずは全県民に詳細な説明をしてほしい。
今回、水道事業の民営化の成功事例や失敗事例を参考に、民営化した場合に住民が納得するような仕組みについて検討してみた。

■水道民営化の成功事例
1970年代初頭のイギリスのイングランドとウェールズの例を調べてみると、当時は約1600もの水道事業者が同じ河川を利用していたことから取水・排水を繰り返し、上流の水道事業者が十分な浄化処理を行わないまま放流していたことも重なって、下流の事業者は汚染された水処理コストが嵩み大きな負担となっていた。そこで政府は10地域に統合した水管理公社を設立したが、1973年の第一次オイルショック後の経済成長率の低下などの影響によって財政破綻しIMFからの支援を受けたが、政府の基幹産業である航空会社や油田の売却に合わせて、1989年に所有権は政府に残したままで水道事業の民営化に踏み切った。そして新たな会社が設立された。水管理公社の負債は株式の売却により償還されている。
しかし、民営化から20年間で45%もの水道料金が値上げされ、株主への高配当や役員への高報酬に繋がっているとの指摘もある。

イギリスではOfwat(水業務管理局)が民営化する際に設立され、政府から独立している機関として機能し、各社からの財務データや金融マーケット・データ等に基づいて、一定の基準に照らし適正な生産性や効率性の改善を求める体制となっている。また、投資額の規制や5年ごとの料金改定の見直し査定などの強い権限もあり、マイナス改定もあるとのこと。
それ故に、必要以上の規制が、水道料金に反映される結果になっている側面もあるが、総じて高い評価を得ているとのこと。(公益社団法人日本水道協会の記事を要約)

■水道民営化の失敗事例
マニラの水道民営化の大きな理由として、漏水や違法な水利用が非常に多かったことやサービスエリアの拡大の必要性から、水道環境の改善と政府負担を減らす目的で水メジャーへの契約に至っている。民営化後はどうなっているかと言うと、大幅な雇用の削減や水道料金も5倍に跳ね上がっている。

ここで特徴なのが、1997年のアジア通貨危機によってペソ暴落したことで、為替上の損失の穴埋めに水道料金の値上げが2度もされていることである。それから、民営化による水道の普及率の拡大や無収水率(漏水や盗水などの損失率)の改善を約束されていたが、現実は新たな投資は行われていなく、無収水率の改善に投資されないで逆に増加しており水質の改善も見られない現状にあったと報告されている。契約の見直しには運営権を政府に返還する必要があるが、契約解除のための莫大な解約料の支払いが生じているとのこと。

パリの水道事業も2010年に民営化から再公営化される前までは、ヴェオリア、スエズの水メジャーとのコンセッション契約となっており、子会社が絡む複雑な組織と責任体制が曖昧になっていた。25年契約の中で水道料金の値上げも何度も繰り返され、民営化から約2.6倍になった。そこで問題視されたのが、水道料金の値上げや利益の内部留保、株主への高配当などの民間の収益に対するチェックは困難だとの判断もあり再公営化が検討され、収益を再投資に充てることができることから再公営化に踏み切った。
パリの水公社は料金の減収対策として、地元のプロサッカーチームと連携し、ペットボトルからパリの美味しい水への転換を図るためにキャンペーンを繰り広げている。
 
■役所の弊害とどこの自治体も抱える悩み
役所仕事で膨大な損失を生じさせても、負の遺産が発生しても個人的に賠償責任などを問われることは原則ない。しかし、その付けは誰が払う訳でもなく住民に対する増税や公共料金の値上げという形で付けが回ってくるだけである。だから、各自治体の借金(地方債)が膨れあがり財政破綻して財政再建団体に指定される可能性も十分あり得る。そして夕張市のように下水道使用料が1.7倍になるとか、水道料金も全国一高く赤穂市の8倍になるような公共料金にせざるを得ない。そして緊縮財政の中で限られた行政サービスしか受けられない住民生活となる可能性がある。

■宮城方式の水道民営化
宮城県は、水道用水、工業用水、流域下水道の3事業を一体化して、管理運営を完全民営化する「みやぎ型管理運営方式」のPFI事業として、平成33年4月目標でスタートする計画のようですが、その宮城方式に至った経緯として、民間企業の不安定な雇用や事業のスケールメリット、民間ノウハウが発揮されない現状がある旨、計画概要に記載されています。そして村井知事は、民営化により水道料金を1割下げられると言い切っています。そうした事例がどこにあるのだろうか、成功事例を詳しく紹介してほしいですね。多分、VFMの166億円~386億円 (7.4%~14.4%削減)の平均値を根拠としていると思うが、コスト削減額を現在価値に換算して試算しているVFM(従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合。支払いに対するサービスの価値の意味)は、インフレ指数は考慮していない数値だということです。

「みやぎ型管理運営方式」のプランはコンサル業務で作成されている訳で、そのコンサル自体が水業界に関わっているため、事業推進の立場からもVFMの数値はイエスの答えがでるのは当然のことです。
作成されたVFM数値は独り歩きしますので、それが非常に危険であるということです。多分、知事の答弁でも1割削減はそうした数値に基づいているのだろうと思います。普通の住民は知事から1割も水道料金が値下げできると言いだされたら納得しますよ。じゃ、コンセッション方式による民営化で、逆に1割も2割も値上げすることに実際なった場合、誰がどのように責任を負うのかといことです。

老朽化した水道管の改築・更生が財政難で進捗していない現状があることもよく分かります。行政でできないものは民間でという発想もよく理解できます。民間の知恵とノウハウを持っているということは、民間を使える人間がどれほど行政にいるかによって、大きく情勢も変わるということになります。他国の事例でもわかるように、国や行政が水メジャーの餌食になった姿を国会や至る所で議論されていますので、できれば時間を掛けて共に生きる道を探ることが必要と思います。

諸外国の上下水道の民営化で多くの失敗例もあり、その殆どが、水道料金の値上げが株主への高配当や役員への高額の報酬、また内部留保に収益をストックしている。また、民間の経営に関して必要な情報開示が難しくチェックができない体制となっていることも事実です。

その一つの答えが、イギリスのOfwat(水業務管理局)のような組織だろうと思います。新たに設立したSPC(特別目的会社)の財務データや金融マーケット・データ等の提出義務化して、チェック体制を強化する。そして料金改定の見直しに対しても強い権限を与える機関が必要であると考えます。

<「みやぎ型管理運営方式」による委託契約のスケジュール表>

※出所:宮城県

<PFI事業によるVFMのイメージ図>

■民営化に伴う事業未執行に対する水道料金への換算
<民営化における老朽施設の改築・更新の工程表の例>

行政は、財政難でも借金してまでも安全・安心な水道水を住民に供給し続けなければならない訳で、それには、水道管や他の老朽施設の計画的な改築・更生や、適正な水質の確保が要求される。民営化になれば、尚更、豊富な民間資金と技術力と機動力が活かした運営計画が契約内容に示されることになる。なので、例えば、3年1期単位で計画通りに施工されていなかった場合はイエローカード、6年2期目でも許容範囲に入っていない場合はレッドカードで契約解除するなどの契約内容とするべきである。そして、遅延部分に対する損害賠償の規定等を設ける。

<事業未執行に対する水道料金の換算値の例>
契約に基づく、毎年度の計画的な水道管や施設等の改築・更生がされないケースがでてくる場合があると思う。民営化の場合は老朽施設の整備をしない方が膨大な利益につながる。マニラのような水道民営化で約束されていた水道の普及率の拡大や無収水率の改善を怠れば、企業の利益優先に対して非難されることになる。

そうした現状を住民が知るためには、毎年度の計画に対する未執行内容があった場合、その未執行分を水道料金に換算した数値を常時公開する仕組みはどうだろうか。例えば、契約して1年目に5000mの老朽管の更新する計画があって、それに要する事業費が2億円(約4万円×5000m)だとして、計画に対して3000m分の投資であれば、8千万円分が未執行となる訳で、その未執行分を水道料金に換算して公開する仕組みである。

【概略イメージ】
投資(計画):5000m×4万円/m=2億円
投資(実績):3000m×4万円/m=1億2千万円
差額:8千万円

現年間運営費:20億円  現水道料金:平均2000円
20億円/(20億円-8千万円)=1.04
水道料金換算:2000円×1.04=2080円となる

※計画通りの老朽施設等の整備や管理を怠ると、現水道料金2000円が2080円に値上げされたのと同じ意味を持つ・・・・毎年情報公開すること

■まとめ
一般の記事では、人口が少ない自治体の上下水道の民営化は無理だろうとの情報が流れていますが、企業側からすれば違うと思います。いわゆる、水は命そのものです。人の体の70%は水です。水道料金がいくら値上げされたとしても飲まざる得ない。各自治体の財政難からくる発想は、民営化による運営権を売却(コンセッション方式)した売却益は地方債の返済に充てられるため、民営化ベストの論理が固まれば躊躇なくコンセッション方式によるPFI事業に傾くでしょう。行政のPSC(行政が自ら実施する場合の事業期間全体を通じた公的財政負担の見込額の現在価値をいう)と比較して、民営化によるVFM(従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合。支払いに対するサービスの価値の意味)が生まれるプロセスを解析することです。

企業は一自治体だけの受注する訳ではなく日本国内の各自治体からの受注がある訳で、各企業同士が組んで資機材の調達に動けば、相当の値引きが可能になるでしょう。また、その多くは水メジャー主体の組織となる確率が高く、いわゆるスケールメリットの最大効果を引き出すことが可能になるでしょう。問題なのが、その流れが独占形態になることで上下水道の料金に跳ね返ってくることです。国内企業はもとより、外資系企業の利益優先の論理が各自治体の弱いところを突いてくることになる。コンセッション方式でやる場合は、最低でもイギリスのOfwat(水業務管理局)のような組織から学び、失敗事例を作らないようにしましょう。

<トップページ>

Related post

  1. 宮城県の水道事業の民営化(コンセッション方式:PFI事業)は大丈…

  2. 日米の人口と個人消費から経済力を計ってみた!

  3. 雑誌の表紙をイメージした「何となくクラシックカー」をちょっとCG…

  4. 東日本大震災から石巻市の復興(漁港)の歩みをCGで再現してみまし…

  5. 信用創造がもたらす債券や株式などの金融商品のバブル崩壊と仕組み!…

  6. 踊り子をCGで演技させてみました!

Recommend post

  1. 膨大な国の借金(国債)返済のカラクリとハイパーインフレ!
  2. ライフプランで見えた興味ある記事ランキング!
  3. 平成31年度の公的年金(老齢基礎年金)とマクロ経済スライドの仕組み!
  4. 年金生活者の市県民税(住民税)が過大請求されている恐れあり、申告で取り戻せる!
  5. 信用創造がもたらす債券や株式などの金融商品のバブル崩壊と仕組み!

連絡

※「問い合わせ」を追加しました♪

カテゴリー

最近の記事

【プロフイール】
■名前:津田 晋
■出身地:宮城県石巻市
■資格:ファイナンシャル・プランナー
■年齢:シニア
■趣味:3DCG、野菜作り、デイトレ

Return Top